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love bite

「ん…ぅッ」

恥じらいも無く俺の股間に顔を埋め、ペニスを咥える剛に

完全に
思考回路は停止した。


「こぉいち…っ気持ちようない…?」

潤んだ瞳で見つめ、心配そうに問い掛ける剛の表情を見れば嫌でも体の中心に熱が溜まってくる。

『んな、こと…ないわ』
「んふふ、よかったぁ…」

何がどうしてこうなっているのか。


答えは簡単だ。


俺が剛に媚薬を飲ませたから。

数時間前━━


「こーいっちくーん」

スタジオの廊下を歩いていた時、名前を呼ばれた。遠くの方で聞こえたと思い、後ろを振り向くも誰もいない。

『誰やねん……!?』

再び前を向いた時、右側の非常階段から細目の男が顔を覗かせていた。

『い、のっちか……』
「びっくりした?」
『いや、もう…』

心臓止まるかと思った…ι

「そんな光一君に嬉しいプレゼントでーす!」
『プレゼント?』
「欲しいでしょ?ちょっとこっち来てよ」

イノッチはそう言うと俺の腕を掴み、非常階段の方へと引き込んでいく。

『いや、俺返事してへんし…』
「細かい事気にしてたらハゲちゃうよ、王子」
『ハゲ言うなや』
「ハゲた王子なんて嫌だわー」
『うっさい』

「まぁ今のは冗談で。プレゼントはこちらです」

イノッチはポケットから何かを取り出し目の前に翳して見せた。

「じゃじゃーん」
『な、何やねん』
「媚薬」
『媚薬?』

見ればそれは粉薬の様だった。

「そうそう。使ってみない?一回ポッキリ3万円」
『胡散臭い上に高い』
「んー…実証済なんだけど」
『そんなん俺の知ったこっちゃない』

大体それがホンマに媚薬かっちゅー事からして怪しいねん。

「なら今自分で飲んで試してみれば?」
『は?』
「疑うんなら体張って試してみればいいじゃない」

イノッチは何処からかペットボトルを出し、俺の前へと差し出した。

「試飲、試飲っ」

それもヤケに楽しそうに。

「ほら、飲みなって」

ペットボトルと薬とを目の前に差し出される。

『いや、えぇから…』
「気になるんでしょ?試してみなよ」

イノッチは細い目を更に細くしてニヤニヤと笑った。

絶対バカにされとるわ…。

『ホンマえぇって』
「なら愛しの剛君に試さないとね」
『…なっ…!』
「お代は試してからでいいから、ね?」
『…‥』
「ほらどうする?こんな機会滅多に無いと思うけどー?勿体無いねー、試してみればいいのに」
『………やる。やればえぇんやろ、やれば』
「おっ、毎度ありー」

俺は半ばヤケになり、そう返事をした。

「お代は試してからでいいよ。じゃあ楽しみにしてるからな、結果」

俺の肩を叩きイノッチは嬉しそうに、笑いながら去って行った。

俺の手元には粉状の媚薬とペットボトル。

『…何や、ホンマに』

そして俺は薬と水の入ったペットボトルを持ち楽屋へと戻った。

楽屋に戻ると、剛が寝転がり雑誌を読んでいた。

「遅かったなぁ」
『あ、トイレ行って…スタッフと会うて…な』

何やめっちゃ緊張すんねんけど…。

「こーいち」
『ん?』
「風邪でも引いたん?」

読んでいた雑誌を閉じ起き上がると、ペットボトルと薬を指差し、剛はそう言った。

『あ、あぁ…風邪気味やねん、風邪気味。さっきスタッフに貰ったん』
「そうなんや」

大きな丸い瞳でじっと見つめられる。

『な、何やねん』
「別に」

ここでバレたら終わりだ。

俺は薬を隠す様に、慌てて鞄にしまった。

剛に飲ませる前に、この薬が媚薬だとバレてしまえば何を試すも、何も試せなくなってしまう。
俺は平常心を保つ様にと深く深呼吸をした。

深く息を吸い込み、その場に座り込むと額に何かが触れた。

『つ、よし…?』
「熱はないみたいやな。そや、今日もう終わりやろ?俺も終わりやし、飯作り行ったるわ。ロクなもん食べてなさそうやしさ」

額に触れた剛の手は、ゆっくりと離れていく。

『引き始めやろうし…大丈夫やて』
「あかん。拗らせたらどないすんねん」

剛はそう言うと、急かす様に俺の手を引き楽屋を出て行った。

「お邪魔しまーす」

スタジオを後にし、自宅付近のスーパーで適当に買い物を済ませ帰宅した。

「相変わらず質素な部屋やな?」
『シンプルて言えや』
「はいはい」

リビングのテーブルに袋を置き、剛は微笑みながら振り向いた。

「お粥とうどんとどっちがえぇ?」
『は…?』
「やから、お粥とうどん。どっち食べたい?」

『え…あ、ならうどん…』
「わかった。なら待っててな。…あ、風呂入れるなら先入って来いや?」

剛はパタパタとキッチンへ消えて行った。

何で[うどん]と[お粥]なんやろ…。

剛に言われた通りバスルームへと向かい、脱衣所で服を脱ぐ。

『…あ、俺病人やったんか』

薬を指差し問われた時に、咄嗟に出た『風邪』と言う嘘。
この計画を成功させるには、剛に怪しまれない様に気をつけなければいけない。

俺はシャワーを浴び、込み上げてくる笑いを堪えた。

風呂から上がりリビングへ戻ると、テーブルにはお世辞にも綺麗とは言えない料理が並べられていた。

まぁ、[うどん]だから仕方ない。

「出た?頭ちゃんと拭くんやで」
『…おう』

肩にタオルをかけ席に着くと、お茶の入ったグラスを置き、剛は俺の前に腰掛けた。

「それ食べたら薬ちゃんと飲むんやで。で、すぐ寝ぇや」
『はいはい』
「返事は一回」
『…はい』

『「いただきます」』

二人手を合わせ黙々と食べ始め、暫くし、食べ終わる頃に剛が口を開いた。

「美味かった?」
『ん?…おう、汁が』
「ダシて言うてや、頼むでホンマ」

剛は笑い、食べ終えると食器を片付けにキッチンへと立つ。

「せや、薬…」
『あ、あぁ…あっちにあんねん。ついでやからコレも片付けてくるからお前座ってろ』

薬の事を指摘され、俺は慌てて立ち上がりキッチンへと向かった。

「せやけどお前仮にも病人やし…」
『大丈夫やて』

カチャカチャと音を立て食器を洗い、濡れた手をタオルで拭き、スーパーで買って来た風邪薬を取り出した。

『別に風邪やないんやけど…予防にはなるか』

薬はイノッチに貰った物と似たような物を買った。

剛の事だから、自分の目の前で飲めと言うに間違いない。

だから敢えて初めから、こっちも勝負に出てやる。

『…て、俺何考えてんねや』

そこまで思考を廻らせる自分に苦笑し、カップに温かいホットミルクを注いだ。

注いだホットミルクにバレない様に砂糖と共に媚薬を投入した。

良心がチクリと痛んだけどここまで来たら引き返せない。

この薬の効果とやらを、身を持って体験してやる。

この後に起こる事への不安なのか、楽しさなのか分からないが、頬が緩み、込み上げてくる笑いが止まらなかった。

ホットミルクの入ったカップを剛に渡し、隣に腰掛けた。
カップを両手で持ちフーッと息を拭きかけ、剛はミルクを口に含んでいく。

『甘すぎた?』

その横で俺は、冷静さを失わない様に、袋を開け風邪薬を水と共に飲み干した。

「ん…大丈夫。温まるわ」
『そうか』

ミルクに息を吹きかけ冷ましながら少しづつ飲み続ける剛を見ると、頬が赤く染まっている様に見えた。

『剛?』

グラスを置き手を伸ばし頬に触れると、その体がぴくりと跳ね上がった。

「…な、なにっ?」

剛は驚いた様子で慌ててカップを置き、傍にあったクッションを抱え込む様にして座り直した。

『いや、顔赤いから熱あるんかなて』

わざとそんな事を言いながら額に手の平を添える。

「やっ…大丈夫、大丈夫やから…」

すると剛は怠そうに息を吐きながらも、首を左右に振った。

もう効いてきたんかいな…

『大丈夫か?』

剛の変化に気付きながらも、何も気付いていないかの様に、腕を引きその体を抱き寄せ、額と額とを合わせた。

「ひゃっ…」
『んー…熱、は無いみたいやけど』
「っ…」

体を離しそう告げると、剛は物欲しそうな瞳で、俺を見つめた。

そしてそのまま、剛が腰掛けているソファの背に手を付き、唇を奪った。

「ん……っ」
『…ッ…』

剛の顎を掴み、逃げ惑う舌を追い自らの舌を絡ませ深く口付けていく。

腰元に腕を回し抱き寄せると、剛の体の中心が激しい熱を持っているのが布越しでも感じられた。

シャツを捲り、朱く色付いた胸の突起を口に含む。

軽く吸い付き舌で刺激をするだけで、剛の呼吸は段々と荒くなっていく。

「も…はよ…」

急かす様に髪をくしゃくしゃと撫でられる。

「はよ、シて…」

我慢出来ないと言う様に、剛は自ら着ている服を脱ぎ始めた。

━━━━━

床には脱ぎ散らかされた服が波を打つ様に重なり、無造作に置かれている。

部屋のライトは点けられたまま。

いつもは明るい中では嫌だと言って聴かないのに、今日の剛は薬のせいなのか、他の何よりも性欲が勝っている様で。

「…っ…ぁあ」

自ら取り出したバイブを自らの手で躯に埋め込むと、ソファに腰掛けている俺の元へと這って来る。

そしてゆっくりとペニスに腕を伸ばし、怖ず怖ずとソレを口に含んだ。

水音を立てながら舌を這わせる剛の髪に指を絡める。

そして、髪を梳く様に撫でてやりながら空いている手を腰に回し抱き寄せた。

『ココ、座って』
「ん…」

ソファに腰掛ける自分の膝を叩きそう告げると、剛はゆっくりとした動作で起き上がり、俺の膝を跨いだ。

膝立ちで跨いだ剛のアナルから伸びるコードをクイッと引っ張ると、剛の体はビクンと跳ねた。

『玩具好きなん?』

抜き差しを繰り返し首筋に舌を這わせながら問い掛ける。

「……ッはぁ、ぁ…?」

酒に酔ったかの様に紅潮した剛の頬は熱く、その体も熱い。

『分からんのか』

「…ひ…っ…」

コードを引っ張り更に奥へと押し込み左右に動かすと剛は小さく声を上げ、その欲を吐き出した。

「…っ…」

苦しそうに、荒い呼吸を繰り返す剛のナカからバイブを抜き出し、濡れたソレを片方の胸の突起に押し当てた。

そしてもう片方の突起に腕を伸ばし、指先でなぞる様に触れる。

少し冷えた指先の感触と与えられる刺激とに、一度欲を吐き出した剛のペニスは再び頭を持ち上げ始めた。

堅く尖った乳首を指で摘み捏る様に刺激を与える。

同様に、バイブを当てた片方も乳輪を撫でる様に滑らせ刺激を与えていく。

ペニスの先端から溢れる先走りの液を指に絡め取り、ぽってりとした唇に運ぶ。

『お前のやで?舐めや』

何の恥じらいも見せず、紅い舌がチロリと顔を見せ指に絡み、纏う様に吸い付いて来る。

剛は指に吸い付きながら、我慢出来ないのか、その艶やかな躯を寄せ、ペニス同士を擦り合わせるかの様に腰を動かしてくる。

『我慢出来んのか』
「ん…っ…」

ペニスを掌で包み込み上下に抜き上げ問い掛けると剛はこくりと頷いた。

『まだまだやろ?』
「やっ…ぁ…」

ペニスの先端の窪みに爪を立て刺激するとピュッピュッと白い精液が飛び出し剛の顔を濡らした。

剛の顔に飛び散った精液を指に辛め、自らの唇へと運ぶ。

その唇で剛のソレを塞ぎ込んだ。

「んっ…んん…」

唇を割り舌を差し込み挿入する。
そして歯列をなぞり、喉の奥へと噛み付く様に吸い付いた。

空いている手でペニスと乳首両方に刺激を与えると、両者共更に敏感な反応を示した。

唇を離しそのまま首筋へと舌を這わせ、耳の後ろやうなじ、肩口と次々に朱い華を咲かせていった。

普段ならば空かさず抵抗してくると言うのに。

これも薬の成果なのだろうか。

虚ろな瞳が何時もに増して虚ろになり、卑猥な腰が何時もにも増して卑猥に動き、深く何処までも俺を誘い込んでいく。

この時ばかりは、この薬を与えてくれたイノッチと、この薬とに感謝した。

『やばいな』

首筋に吸い付きながら小さく息を吐いた。

俺にだって限界はある。

しっとりと濡れた肌に唇を這わせながら濡れそぼったアナルに中指を挿入する。

バイブによって解されたソコはゆっくりと収縮を繰り返し、熱く纏わり付いて来る。

中指に続き、薬指、人差し指を挿入し三本の指で内部を掻き回すかの様に動かした。

「ん…んんっ…ぁ」

俺の太腿の上に腿を跨ぐ様に膝立ちになった剛の口元から吐息が漏れる。

指を引き抜き、アナルにペニスをあてがうと剛の虚ろな濡れた瞳と目があった。

『……』
「はよっ、キテ…」

自らが、自らの胸に手を添え赤く色を変え尖った乳首を弄る。

指先で乳首だけに触れてみたり、掌を広げ揉みしだいてみたり。

俺を見つめるその瞳は、まるで娼婦の様だった。

濡れた瞳に吸い込まれる様に押し倒し、腰を深く沈めていく。

『っ……』
「あぁ…あっ」

しっとりと濡れ、きゅうきゅうと締め付けてくるソコに貧りつく。

前後左右に揺らめく腰の動きに合わせて、何度も打ち付けた。

剛の開きっぱなしの口からは銀色の蜜が溢れ、口角からゆっくりと流れ落ちる。

『っ…?!』

その時だった。

鋭い痛みが体中を瞬時に駆け抜けた。

『な、なんや…?』

思わず動きを止め、組み敷いた剛の顔を覗き込んだ。

すると剛は、額にかかった髪を掻き上げ、くすりと笑い口を開いた。

「どうやった?“淫乱ツヨシ君”は」
『……え?』

組み敷いた筈の剛に、逆に組み敷かれた俺はその言葉に唖然とした。

そんな俺にはお構い無しに腰を揺らしながら、剛は続けた。

「演技とテクにはちょーっとやけど自信あってん。まさかとは思うたけど、光一あっさり信じてまうんやもん」

くすりと笑いぺろりと唇を舐めた剛に、今度は俺の開いた口が塞がらない。

“演技”と“テク”?

可愛い顔して何を言うんや、こいつは。

剛は笑みを浮かべ、今も尚そのしなやかな腰を動かし続ける。

「ほら、また大きくなった。単純やな」

再び痛みが走ったかと思うと、肩口には朱いキスマークが二つ仲良く並んでいた。

今この瞬間までに行われていた出来事が、頭の中を駆け巡る。

演技…。
演技っちゅー事は…

『お前、薬は?!』

ほな俺が貰ったあの薬は何やねんな。

思考回路が入り乱れる中、俺は剛に問い掛けた。

呆然とした俺の体を反転させ、馬乗りになった剛は俺の唇に指先で触れながらこう口にした。

「アレ?あれはただの砂糖やで、粉砂糖」

媚薬だと思っていた白い粉の正体は、ただの粉砂糖だと言う。

『イノッチから貰ったんに…?』
「あぁ、あれ最初はホンマに媚薬やってんけどな。廊下でイノッチに会って何や媚薬がどうこう言うとって。お前がトイレ行ってる時に俺がすり替えたっちゅー訳やわ」

嘘やん…。
確かに、肌身離さず持っていた筈なのに。

「家帰って来てからお前トイレ行ってたやん?そん時に」
『……』

俺はどんだけアホやねん。

「ええやん、たまにはこういうんも」

そう言い微笑んだ剛に、軽く頬を撫でられ口付けられる。

「怒ってる?」
『怒ってる言うか…』

情けない話だと思った。

「…こーちゃん、怒らんといて?」

親指と人差し指を甘噛みしながら、潤んだ瞳で見つめられる。

男と言う単純な生き物は瞬時に体の中心が熱くなってしまう訳で。

「な、はよイカセテッ…」

駄々をこねる様に、悪戯な瞳で見つめられると何でも許してしまいそうになる。

本当に情けない話だ。

「んっ…こーいちっ…んんッ…」
『はっ…く……ッ』

何だかんだ言いつつも、俺は剛の中に勢いよく欲を放った。


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「光ちゃーん!」

後日、スタジオの廊下でイノッチと擦れ違った。

「どうだった?薬の効果は」
『あ、あぁ…良かったで』

まさかあんな事になったなんて、口が裂けても言えやしない。

「あ!」

イノッチが一際大きな声を出し、俺の肩を叩いた。

俺の体はビクリと跳ね上がり、目の前の男を、目を丸くさせて見つめ返した。

「お代はいらないから。友情割引ね、うんうん」

その男は「じゃあ」と手を振りその場を後にした。

『ふう…』

「友情割引やて」

息を吐いたと同時に後ろから聞こえた聞き覚えのあるその声に、再び跳ね上がりつつもゆっくりと振り返る。

『盗み聞きか』
「たまたま通っただけですぅ」
『あぁ、そう』
「何やそのやる気ない返事。イノッチに教えたってもええんやで?あの媚薬は光一にー…」
『っ…!』

咄嗟に剛の手を掴み、楽屋の中へと引き込んだ。

そう、剛がすり替えたと言うあの媚薬はあの後俺に使われた。

勿論、この目の前に立つ恋人の手によって。

「んふふ、光一慌て過ぎ」

そら慌てるっちゅーねん。

そんなんイノッチになんか言うてもうたらとんでもない事になるに決まってる。

想像しただけで鳥肌が立ちそうだ。

『……』

日頃の行いがこうして巡りに巡り、やってくるんだと言う事を痛感した。

肩口には未だ朱いキスマークが一夜の愛を語る様に残っている。

*END*


------ 文章結尾 ------

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