AKB48が24日、初の東京ドーム公演を開催した。2005年12月8日のAKB48劇場(東京・秋葉原)デビュー公演から2452日目で、最大の夢をかなえた。リーダーの高橋みなみ(21)は「私たちのゴールライン、スタートラインを見守ってください」とあいさつ。27日に卒業を控える前田敦子(21)を筆頭に245人が、ステージではじけ、終盤には、海外移籍も伴う大型の“人事異動”がサプライズで発表された。同公演は明日26日まで開催され、3日間で約14万5000人を動員する。

 約4万8000人の大歓声の中、記念すべき東京ドームでの1曲目は、前田や高橋ら初期メンバー6人による「PARTYが始まるよ」だった。05年12月8日の劇場オープン公演の最初に歌われていた思い出の曲を、前田たちは、かみしめるように歌い、踊った。

 ライブの冒頭は、その6人が、秋葉原のAKB48劇場から1830メートル離れた東京ドームまで歩いて、2452日間を振り返る映像だった。1日に換算すると74・7センチ。文字通り、1歩1歩前に進んでたどり着いた夢のステージだった。公式ブログのサブタイトルは「TOKYO

 DOMEまでの軌跡」。高橋は「劇場オープンしたあの日から、ここが夢でした」と言うと涙を流した。

 峯岸みなみ(19)は「この夢を目指し始めたころは、周囲に『何をバカなこと言ってるの』とか言われて、私たちも半信半疑でした…。でも、私たちは今、現実にここに立ってます!!」と、顔をクシャクシャにしながら、胸を張った。20人いた初期メンバーで、東京ドームにまでたどりつけたのは、遅れて加わった篠田麻里子(26)を含めてもわずか6人。この事実が、AKB48の、長く険しかった道のりを物語っていた。

 ただ、夢舞台では思い出を振り返るばかりでもなかった。3日後に卒業するエース前田は、島崎遥香(18)ら次世代エース候補4人と「7時12分の初恋」を歌った。島崎には「ポンコツと呼ばれても気にしない。私も省エネダンスとか言われてたから」と励まし、SKE48向田茉夏(16)に「どうしたら、あこがれの前田さんみたいになれるのですか?」と聞かれ、「茉夏は茉夏の色を見つけて、それを出していけばいいんだよ」と助言した。ライブを通して、言葉で背中で、後輩たちに道を示した。次のセンター候補と呼ばれる渡辺麻友(18)と松井珠理奈(15)は「いつか見た海の底」を、ダブルセンターで歌った。夢をつかんだ先輩たちは、感傷に浸りながらも、後輩たちの背中を押すことを忘れなかった。その後輩たちは、ライバル同士で切磋琢磨(せっさたくま)していた。

 終盤には、秋元康総合プロデューサー(54)の意向で、海外移籍、新編成を伴う大人事が発表された。前田が卒業するに伴う48グループ全体への“カンフル剤”だ。これに驚きながらも、総監督に任命された高橋は言った。「私たちのゴールラインは、スタートラインでもあるんです。皆さん見守ってください」。AKB48の過去と未来が交差した夜は、新たな歴史の始まりだ。【瀬津真也】